●性体験告白文●
彼女と初めて会った時の印象は、月並みな言い方をすれば、「おとなしそう。」失礼を覚悟で、もっと的確に表現するならば、「暗そうな子だなぁ・・・」と言うのが第一印象だ。この業種は常に人と関わらなければならない。こんな子に勤まるのか?私はそんな疑念を持った。しかし、そういったネガティブな印象だけを受けたわけではなかったのも事実だ。初対面の私に対して、ちゃんと頭を下げ、挨拶と自己紹介をしてきたところには、ひどく感心させられた。「若いのに、しかりしてるなぁ」という思いも確かにあったのだ。つまり、良くも悪くも、この業界には、あまりいないタイプの女の子だと感じたのが、その時の私の正直な気持ちである。小学生時代の彼女は今とはくらべ物にならない程に明るかった。クラスの中でも中心的な人物であり、誰とでも仲良くなれるような子。例えば、自分のクラスに転校生が入ってきたら、彼女が真っ先に話しかけに行き、友達になってしまう。そんなタイプだった。しかし、中学に入学して、状況は一変する。一つ上の学年の不良グループに目をつけられてしまった。いわゆるいじめだ。まずは容姿の事でからかわれた。私は疑問に思う。彼女の容姿には何一つ問題点らしき部分は見当たらないからだ。だかすぐに、その疑問を打ち消した。問題があるからいじめられたわけではない。問題点は相手が勝手に作るもの。そして、それを前提に周りからの評価が決まる。彼女に対する攻撃は日増しにエスカレートしていき、いつしか同じクラスの連中も彼女を避け始めた。その後、彼女はいじめに耐えながらなんとか学校には行き続けた。中学生を卒業した彼女は、自宅から少し離れた、自分の事を知ってる人間が誰もいない高校に進学した。高校の3年間、無事に過ごすことができ、平穏で楽しい日々を送ることができた。初めてのまともな男女交際もそこで経験した。しかし、彼女は、中学生時代自分に降りかかった、いじめ体験の記憶をその高校3年間で消し去ることはできなかった。もしかしたら彼女は、失った中学時代を取り戻すため、あえて人との繋がりが多い今の仕事を選んだのではないか?この職場は、彼女にとっての学校なのではないか?彼女は言う。「お客様は皆さん私より年上なので、いつも色々な事を教えてもらっています」彼女は日々、お客さんと人生の授業をしているようだ。接客部屋という、少し狭めの教室で。私は最後に、この少し重苦しくなった部屋の空気を変えようと、冗談まじりにこう言った。「でも教えてもらう事って全部性教育ばかりなんでしょう?」言った後、すぐにその発言が場違いなものであり、彼女にとってすごく失礼なものであると気付き、私は後悔した。しかし、そんな私の失言に対して、彼女は大真面目な顔をして、こう答えた。「私、性欲強い方なんで大丈夫です!」その言葉は、先程の私の無神経な言葉なんかより、よっぽど場違いに聞こえた。
作・太一
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